診察で「大丈夫です」と答えてしまう方へ|乳房の放射線治療、つらさを伝えるための記録帳

乳房の放射線治療で症状を我慢せず医療者に伝えるための記録帳を紹介するコラムのアイキャッチ 診察・相談の準備

診察で
「何か変わったことはありませんか」
と聞かれて、
「大丈夫です」
と答えてしまう。

そして病院からの帰り道に、「あ、あれ言えばよかった」と思い出す。

乳房・胸壁の放射線治療を受ける方に関わっていた頃、よく聞いた話です。

本当は、下着が当たると痛い。
お風呂のお湯がしみる。
それでも「がんの治療なんだから、このくらい我慢しなきゃ」と、飲み込んでしまう。

私は、がん放射線療法看護認定看護師として、放射線治療を受ける方に関わってきました。

治療室では、診察のあと
「実は…」
と本当のつらさを話してくださる方に、何度も出会っています。

この記事では、つらさを伝えられなくなる理由と、
次の診察で伝えられるようにするための準備の方法をまとめました。

あわせて、準備のために作った記録帳もご紹介します。

読み終えるころには、次の診察で何をどう伝えればいいかが、はっきりしているはずです。

▶ 先に記録帳の中身を見る「放射線治療日記(乳房・胸壁編)」

「大丈夫です」と答えてしまう、本当の理由

つらさを飲み込んでしまうのは、あなたが我慢強い性格だからではありません。

放射線治療は、ほとんどの方にとって初めての経験です。
初めてだからこそ、判断できないことがあります。

  • どのくらいまでが、治療中によくある変化なのか
  • どこからが、医療者に伝えていい症状なのか
  • 自分に起こった症状は、言うほどのことなのかどうか

境目が分からないとき、多くの方は、言わないほうを選びます。

さらに、診察は数分で終わります。

緊張もします。

「いつからですか」「どのくらいですか」と聞かれても、家で痛かった場面を、
その場でさっと思い出すのは簡単ではありません。

結果として、口から出るのは「大丈夫です」のひとことになります。

治療室で聞いた「我慢しなきゃと思ってました」

放射線治療室で働いていたころ、私は同じ場面を何度も見てきました。

診察では「大丈夫です」と答えていた方が、治療室に入ってから、ぽつりと話してくださるんです。

「実は、下着が当たると痛くて」
「がんの治療なんだから、このくらい我慢しなきゃと思ってました」

症状を伝えることは、治療への文句でも、弱音でもありません。

痛みやヒリヒリを伝えると、医療者は皮膚の状態を確認したうえで、
洗い方や保湿の方法、塗り薬について検討したり、
下着や服のこすれを減らす工夫を一緒に考えたりできます。

我慢して乗り切るしかないと思っていたことが、実は相談していいことだった。

私たち医療者も、気づいたときには声をかけてきました。

けれど、診察室でのやりとりや、ご自宅での毎日までは、そばで見ていることができません。

つらさに気づけるのは、その場にいるご本人やご家族です。

診察で伝えやすくするための、ひとつの準備

診察で症状をきちんと伝えるために、話し上手である必要はありません。

必要なのは、診察室で思い出さなくてもいい状態を、あらかじめ作っておくことです。

やり方は簡単で、気になった日に、短く書いて残しておくだけ。
たとえば、手元にこう書いてあれば十分です。

右胸の下。下着が当たるとヒリヒリ。
昨日より強い。夜、眠りにくい。
→ 今のケアでいいか聞きたい

診察では、書いたものを見ながら、こう言うだけです。
「右胸の下が、下着に当たると痛くて。昨日より強くなっています」

痛かった日を思い出さなくていい。
うまく説明できなくていい。
言葉が出てこなければ、書いたものを開いて見せるだけでもかまいません。

「大丈夫です」と答えなくて済むようになります。

白紙のノートが続かない理由

では、ノートを1冊用意すれば解決するかというと、そう簡単ではありません。

白紙のノートを開いた人が、自分で考えなければいけないことは、たくさんあります。

  • 毎日、体のどこを見ておくのか
  • どんな変化に気をつけるのか
  • どう書けば、診察で伝わるのか
  • 今日の変化は、書くほどのことなのか

治療に通いながら、4つとも自分で考えて、思い出して書いていく。
皮膚がヒリヒリする日も、通院で疲れきった日もです。

こうなると、
数日で続かなくなってしまうことがほとんどだと思います。

記録が続かないのは、意志が弱いからではありません。
何を見て、何をどう書くのかを、一人で考えて続けなければならないからです。

4つの迷いを、あらかじめなくした記録帳

そこで、「記録したほうがよいと分かっていても、何をどう書けばよいか分からない」という方が、
無理なく続けられる形を考えました。

「放射線治療日記(乳房・胸壁編)」

A4サイズ・PDF・全17ページ/印刷して手書きで使います

乳房・胸壁の放射線治療を受ける方のためだけに作った記録帳です。

役割は、

あなたが
毎日の変化を短時間で残し、診察で伝えたいことを整理しやすくすること

そのために、6つの工夫を入れました。

1.観察する項目は、最初から記入済み

乳房・胸壁の治療中に気をつけたい項目を、あらかじめ載せてあります。
どこの何を見ればいいかを考える必要はありません。
書いてある項目を、順番に見ていくだけです。

2.書くのは、数字に○をつけるだけ

長い文章は必要ありません。1〜5の数字に○をつけるのが中心です。
体調がすぐれない日でも、10秒あれば終わります。
文章を書く余裕がない日にも、続けやすい形です。

3.先週と今週の見くらべ

診察でよく聞かれるのが、「いつからですか」「どう変わってきましたか」という質問です。
記憶だけで答えるのが、いちばん難しい質問でもあります。

毎日つけた記録が同じ形式で並ぶので、先週のページと今週のページを見くらべれば、
赤みや痛みが強くなってきたのかどうかを、そのまま伝えられます。

4.診察前に、伝えることを1つ選ぶページ

診察前メモのページがあります。
記録の中から、今日いちばん伝えたいことを選んで書くだけ。
診察室で、書いたページを開いて見せることもできます。

5.病院に連絡していいか迷ったときの目安(3段階)

次の診察まで待っていいのか、今日連絡したほうがいいのか。
判断に迷う場面のために、3段階で整理したページを入れました。

「様子を見ることが多いもの」「次の診察で伝えるもの」「待たずに連絡するもの」。
迷ったときに開いて確認できます。

6.治療が終わったあとの記録ページ

皮膚の反応は、治療が終わってすぐに落ち着くとは限りません。
治療後の変化を記録するページも入れてあります。

全17ページの中身

  • 表紙/日記の使い方
  • 基本情報・病院の連絡先(迷ったときの電話先を、最初に書いておくページ)
  • 通院カレンダー(8週分)
  • 週の記録(8週分)
  • 乳房・胸壁の症状を記録するシート
  • 病院へ相談する目安(3段階)
  • 診察前メモ
  • 治療後の記録ページ

使い方は3ステップ

STEP 1 必要なページを印刷する(ご自宅でもコンビニでも)
STEP 2 1日1回、当てはまる数字に○をつける
STEP 3 診察の前に、伝えたいことを1つ選ぶ

作ったのは、診察のあとに続く「実は…」を聞いてきた看護師

私はがんに携わる看護師として約15年、そのうち約5年間は、
がん放射線療法看護認定看護師として、放射線治療を受ける方に関わってきました。

治療室で、たくさんの本当は大丈夫じゃない「大丈夫です」を聞いてきました。
そのすぐあとに、「実は、〇〇が…」もたくさん聞いてきました。

この記録帳には、一般的な知識だけでなく、
乳房・胸壁の治療中にどんな変化を見ておくと伝えやすいのか、
診察前に何を整理するとよいのかなど、
患者さんとの関わりの中で必要だと感じてきたことを反映しています。

記録帳はチェック項目を並べる形だけなら、誰にでも作れます。

けれど、実際には何が必要なのか、どの項目を入れるかは、治療室で実際に患者さんと関わってこなければ分からない部分も多くあります。

そういった部分も含めて、この放射線治療日記を作りました。

価格は980円(1日あたり約17円)

「放射線治療日記(乳房・胸壁編)」

980円(税込)

A4サイズ・PDF・全17ページ
購入後すぐにダウンロードできます
お支払いは1回限りです

治療期間の8週分として使うと、1日あたり約17円になります。

17円が変えるのは、診察で「大丈夫です」と答えてしまう日を、減らすことです。

よくいただく質問

Q. 治療が始まってからでも使えますか?

はい。使い始めた日から記録できます。症状が出はじめた時期からのほうが、診察で伝えたい内容も具体的になります。

Q. 毎日きちんと書けるか不安です

書ける日だけでかまいません。数字に○をつけるだけなので、体調がすぐれない日でも続けやすい形にしています。

Q. 家族が代わりに書いてもいいですか?

もちろんです。ご本人が書きにくい日に、ご家族が聞きながら○をつけるという使い方もできます。

Q. スマートフォンに直接入力できますか?

いいえ。印刷して手書きで使うPDFです。診察室でそのまま開いて見せられるように、紙で使う形にしています。

Q. 印刷が面倒ではありませんか?

必要なページだけ印刷すれば使えます。ご自宅にプリンターがなくても、コンビニで印刷できます。

記録は、始めた日からしか残らない

ひとつだけ、正直にお伝えしておきます。

今日感じているヒリヒリも、昨日との違いも、
時間がたつと、細かな違いを思い出しにくくなることがあります。

記録は、始めた日からしか残らないんです。

次の診察で「いつからですか」「どのくらい変わりましたか」と聞かれたときに、答えられる自分でいるために。

今日から、始めてみませんか。

カード利用明細には「NURSE NAVI」と表示されます。
購入後すぐにダウンロードできます。ダウンロードリンクを記載したメールもお送りします(迷惑メールフォルダもご確認ください)。
PDFが開けない、ダウンロードできないなどの不具合には、個別に対応します。

ご購入前にご確認ください

  • 記録帳は、診断や治療方針を決めるものではありません
  • 記録した数字だけで、治療や薬を変更・中止しないでください
  • 病院から説明されたケアや、連絡の目安を優先してください
  • 強い症状や急な変化があるときは、記録だけで様子を見ず、治療を受けている病院へご相談ください
  • 印刷して手書きで使うデジタル商品です(紙の商品は発送されません)
  • デジタル商品のため、お客様都合による購入後の返金は原則としてお受けできません

そのつらさは、我慢するものではない

「これくらい、我慢しなきゃ」

そう思ってきた方に、いちばん伝えたいことがあります。

あなたが感じているつらさは、我慢するものではありません。伝えていいものです。

それでも、いざ診察になると言葉が出てこない。
言えない難しさも、治療室でずっと見てきました。

だから、道具を用意しました。

書いてある項目に○をつけて、診察でそのまま見せる。

診察で、体に起きている変化を伝えやすくなります。

次の診察では、この記録を見ながら、
気になっている症状や生活で困っていることを伝えてみてください。

※記事は、乳房・胸壁の放射線治療を受ける方に向けた一般的な情報の整理です。診断や治療方針を決めるものではありません。症状の現れ方や必要なケアには個人差があります。治療を受けている病院からの説明や指示を優先し、気になる症状や治療の見通しについては、主治医・看護師・診療放射線技師などにご相談ください。

参考情報

・国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療の実際」
・国立がん研究センター中央病院 看護部「放射線治療中のスキンケア」
・静岡県立静岡がんセンター「がん放射線治療の概要」

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