放射線治療の初日、当日はどう進む?流れと過ごし方

放射線治療の初日の流れと当日の過ごし方を説明するコラムのアイキャッチ 放射線治療前の準備

「放射線治療を始めましょう」
と言われたあと、初日が近づくにつれて、こんなふうに感じていませんか。

痛いのかな。
何をされるんだろう。
ちゃんとじっとしていられるだろうか。
ひとりにされて、こわくないだろうか。

治療の名前や副作用のことは説明を聞いたけれど、

「当日、自分の体に実際に何が起きるのか」
は、案外イメージがわかないままのことが多いんです。

見たことのないものは、それだけで不安になりますよね。

この記事では、放射線治療の初日が、だいたいどんな流れで進んでいくのかを、順番にお伝えします。

読み終わるころには、
「なんだ、そういうことか」
と、少しだけ肩の力が抜けているといいなと思っています。

※ここに書くのは一般的な流れです。使う装置・所要時間・当日にすることは、病院や治療する部位によってかなり違います。あなたの場合の正確なことは、治療を受ける病院の説明が優先です。

初日の前に、もう「準備」は始まっている

まず知っておいてほしいのは、初日にいきなり放射線が当たるわけではない、ということです。

多くの場合、初日より前に「治療計画」のための準備が行われています。

放射線腫瘍医の診察を受けて、
どの部位に、どの方向から、どのくらいの量を、何回に分けて当てるかが検討されます。

そのために、治療のときと同じ姿勢でCTを撮る「CTシミュレーション」という撮影をします。

このとき、毎回同じ姿勢を正確に再現するために、体に印(マーキング)をつけたり、
放射線を当てる部位によっては固定具を作ったりします。

頭や首の治療では顔に合わせたマスク型の固定具を作ることがありますし、
体の治療では体を支える枕や固定具を使うことがあります。

固定具やマスクは、
「毎回まったく同じ位置に、正確に放射線を当てるための道具」
です。

少しくらい動いても大丈夫、というものではありません。
ぴったり固定するからこそ、狙ったところに、狙った量を届けられます。

固定具を作るときや初日に、少し窮屈に感じたり、
じっとしている姿勢がつらく感じたりすることがあります。

そういうときは我慢しないでください。

姿勢や固定具は調整してもらえます。

痛みやしびれがあるときも、
そのまま黙って耐えると治療もそのまま受けなくてはならない場合があります

その場で技師さんや看護師さんに伝えたほうがいいです。

むしろ伝えてください!

この準備から実際の初回照射までは、数日あくことも珍しくありません。

「診察したのにすぐ始まらない」と不安になる方もいますが、
正確に当てるための計算と確認に時間がかかっているだけで、
遅れているわけではないことがほとんどです。

初日、治療室でのだいたいの流れ

では、初回の照射日、治療室ではどんなふうに進むのか。
だいたいの流れはこんな形です。

  • 受付をして、治療室の前で順番を待つ
  • 呼ばれたら治療室に入る
  • 治療する部位を出せるように、上着や下着を調整する(部位によります)
  • 治療台に横になる
  • CTを撮ったときと同じ姿勢に整えてもらう
  • 固定具がある人は、それを装着する
  • 体の印やレーザーの光を目印に、技師さんが位置を細かく合わせる
  • 位置を確認するためのX線写真などを撮る
  • 位置が確定したら、実際の照射
  • 照射が終わったら目印の調整
  • 起き上がって、身支度をして退室

初日は、この「位置を合わせて確認する、目印の調整」作業にいちばん時間がかかります。
狙ったところにきちんと放射線を当てるためです。

「思ったより長い」と「思ったより一瞬」が同居する

時間の感覚について、少し具体的にお伝えします。

初回は、位置合わせと確認があるため、入室から退室まで20〜30分ほどかかることが多いです(病院によって幅があります)。一方で、2回目からはこの確認作業が短くなるので、10分前後で終わることも多いです。

ここで意外に思われるのが、「じゃあ放射線が当たっている時間はどれくらい?」という点です。実は、実際に照射されている時間は数分、短ければ1〜2分ということもあります。

なので、初日の体感は
「準備と位置合わせは長い、でも放射線を当ててる時間は思ったより一瞬」
という方が多いです。

「え、もう終わり?」と拍子抜けする方も少なくありません。

痛いのか、熱いのか

これはとても多い不安なので、はっきりお伝えします。

放射線が当たっているあいだ、痛みや熱さを感じることはほぼありません。
(なんか暖かかった〜、放射線当たってるのは何となく分かった〜という方、稀にいらっしゃいました、、)

レントゲン写真を撮るときに何も感じないのと同じで、当たっている瞬間そのものに痛みはない、
というのが一般的な説明です。

ただし、ここは切り分けて理解しておいてほしいところがあります。

「当たっている瞬間が痛くない」ことと、「副作用がない」ことは別の話です。

放射線治療では、治療が進むにつれて、当てた部位の皮膚が荒れたり、
粘膜(口腔内など)がしみたりといった変化が出てくることがあります。

多くは治療が始まってしばらく経ってから、少しずつ出てくるものです。

だから、「初日に何ともなかった=これからもずっと平気」ではありません。

逆に、初日に何も感じなくても、それは正常なことで、心配しすぎなくて大丈夫です。

当日の痛みのなさと、これから先の体の変化は、分けて考えておくと安心です。

ひとりになるけれど、ひとりぼっちではない

照射のあいだ、治療室のスタッフは治療室の外(操作室)に出ます。

放射線を扱う部屋なので、これはどうしても必要なことです。

そのため、照射の数分間は、治療室にあなたひとりになります。

ここが、実は多くの方が事前に不安に感じるところです。

閉じた部屋で、大きな機械の下で、ひとりでじっとしている——想像すると、確かに心細いですよね。

でも、ひとりぼっちにされているわけではありません。
治療室にはカメラがあって、スタッフは操作室のモニターで、あなたの様子をずっと見ています。

マイクも取り付けてあって、何かあればいつでも話しかけられます。

気分が悪くなったとき、体勢がつらくなったとき、こわくなったときは、
声を出したり手で合図したりすれば、照射を止めてもらえます。

放射線治療室では、こうした「ひとりになる数分がこわい」という声を、
私も少なからず聞いてきました。

事前に「見守られているんだ」「止めてもらえるんだ」と知っておくだけでも、
その数分の感じ方はずいぶん変わると思います。

じっとしていられるか不安な人へ

「動いちゃいけないと思うと、かえって動きそうでこわい」。

これもよく聞く不安です。

基本は、CTを撮ったときと同じ姿勢で、力を抜いて、
いつもどおりの自然な呼吸をしていて大丈夫です。

息を止め続ける必要は、原則ありません(一部、乳房や肺などで「息を吸って止める」方法をとることはありますが、その場合は事前に練習と説明があります)。

固定具がある人は、その固定具が姿勢を保つのを助けてくれます。

それでも、どうしても咳が出そう、姿勢がつらい、というときは、
我慢して動いてしまう前に、合図をして一度止めてもらうほうが安全です。

「止めてもいいんだ」と知っておいてください。

治療は「休まず続ける」のが基本

もうひとつ、初日の前に知っておくと安心なことがあります。

放射線治療は、多くの場合、土日祝日を除いて毎日、決められた回数を続けていきます。

1回で終わらず、何回かに分けるのは、体への負担を抑えながら効果を出すためです。

そして、いったん始めた治療は、できるだけ休まず予定どおり続けることが大切だとされています。

途中で間があいてしまうと、治療の進み方に影響することがあるためです。

だからといって、体調が悪い日に無理をして這ってでも行く、という意味ではありません。

熱が出た、体調が明らかに悪い、通院がどうしても難しい
——そういうときは、自己判断で黙って休むのではなく、
治療を受けている病院に連絡して相談してください。

続けることが大事だからこそ、迷ったら勝手に決めずに聞く、が大切です。

初日の前に、確認しておくといいこと

最後に、初日を少しでも安心して迎えるために、治療前によく聞かれていたことをまとめます。

  • 初回は入室から退室までどのくらい時間がかかりそうか(部位・病院で違うため)
  • 治療する部位はどこまで服を脱ぐ必要があるか(着脱しやすい服装だと楽です)
  • 体の印やマーキングを、お風呂でこすって消してしまわないためにどう気をつけるか
  • 姿勢がつらいとき・こわいときは、どう合図すればいいか
  • 体調が悪くて行けそうにない日は、どこに連絡すればいいか(連絡先と受付時間)
  • 通院は毎日か、何回くらいの予定か

こうした「聞いておきたいこと」は、頭の中だけで抱えていると、
診察のときにすっぽり抜けてしまいがちです。

メモにして持っていくと、その場で聞き忘れずにすみますし、気持ちの準備にもなります。

「これくらいのこと、聞いていいのかな」と思う必要はありません。

こわいと感じていること、分からないことを先に聞いておくのは、
これから毎日通う治療を、少しでも落ち着いて続けるための準備です。


放射線治療の初日は、知らないことが多いぶん、実際より大きな不安になりやすい時間です。

でも、こうして順番にほどいていくと、
「準備があって」「位置を合わせて」「数分当てて」「見守られていて」「困ったら止められる」

——ひとつずつは、そんなに恐ろしいものではないことが分かってもらえたのではないかと思います。

見えない治療だからこそ、中身が分かるだけで、少し歩きやすくなることがあります。初日、どうか気負いすぎずに。分からないことは、そのつど聞いて大丈夫です。

この記事の内容について

この記事は、放射線治療の一般的な流れをお伝えするものです。実際の治療の内容・所要時間・当日にすること・注意点は、治療する部位や病院によって異なります。体調や治療についての判断は、必ず治療を受けている病院の医師・看護師・診療放射線技師にご相談ください。気になる症状や不安があるときは、次の診察を待たずに相談して大丈夫です。

参考情報

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