がんの治療で髪が抜けるかもしれないと聞いて、その日の夜にスマホで医療用ウィッグを探し始める。
画面には、数千円台の既製品から、何十万円もするオーダー品まで並んでいます。
「安いものにして、外を歩けないくらい不自然だったらどうしよう」
「でも治療にもお金がかかるのに、ウィッグに何十万円は出せない」
値段の幅が広すぎて、どこを見て決めればいいのか分からなくなりますよね。
先にお伝えすると、
医療用ウィッグは、高いものだけが正解ではありません。
大事なのは値段ではなく、脱毛する範囲、サイズ、頭皮に触れる部分、
手入れにかけられる時間が、自分に合っているかどうかです。
この記事では、値段に差が出る理由と、買う前に確認したい6項目を整理します。
あわせて、多くの自治体にある購入費の助成制度と、
通販で失敗しないための返品条件の読み方もお伝えします。
私は看護師として約15年勤務し、元がん放射線療法看護認定看護師として約5年間働くなかで、
治療中の脱毛や外見の変化に関する相談にも関わってきました。
値段に押されて決めるのではなく、自分に必要な条件まで絞れるところまで、
一緒に見ていきましょう。
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「どんなものがおすすめですか」と聞かれたとき、最初に確認していたこと
放射線治療室では、「ウィッグってどんなものがおすすめですか」と聞かれることが、
ときどきありました。
放射線治療と抗がん剤を同時に行う治療を受けている方から、相談を受けることもあります。
そのとき、おすすめの商品名より先に確認していたのは、
その人の髪が「どの範囲でどの程度」抜ける可能性があるかでした。
ここが、ウィッグ選びのいちばん大きな分かれ道になるからです。
放射線治療だけの場合
放射線治療による脱毛は、照射した部位に起こります。
例えば、胸に放射線を当てた場合、
胸毛は抜けても頭の髪の毛は抜けないとされています。
頭髪が照射範囲に入らない乳房や骨盤への照射だけで、頭髪が抜けることはありません。
放射線治療で抜ける場所や時期は、放射線治療で髪は抜ける?脱毛が起こる場所と時期でも詳しくお伝えしています。
髪の毛に関していうと、
頭部の固定具(シェル)を作ったあとに、髪の量や長さが大きく変わると、
固定する位置がずれることがあります。
すでにシェルを作っている方は、髪を切る前に治療スタッフへ確認が必要です。
詳しくは、こちらの記事でお伝えしています。
抗がん剤を一緒に行う場合の脱毛
薬物療法は全身に届く治療です。
薬の種類や量によって脱毛の程度は異なり、
髪や体毛がほとんど抜ける薬もあれば、薄毛になる程度の薬、
ほとんど脱毛しない薬もあると説明されています。
いくつかの薬を組み合わせると、程度が大きくなりやすいとされています。
大切なのは、「抗がん剤だから必ず全部抜ける」わけではないという点です。
自分が使う薬で脱毛が起こりやすいかどうかは、担当医や薬剤師に確認できます。
買う前に、ここを一度聞いておくと、ウィッグが必要かどうかの見当がつきます。
なお、脱毛が始めるのは、放射線治療でも薬物療法でも、
開始から2〜3週間後が目安とされています。
ただし、治療内容や個人差があります。
治療前に急いで購入する必要はありませんが、使うかどうかを考え、
種類や価格、返品条件を先に調べておくと選びやすくなります。
値段が高ければ自然に見える、とは限らない
医療用ウィッグの値段は、数千円から数十万円まで幅があります。
毛の素材や植え方、人工皮膚の有無、サイズの調整方法などによって価格が変わります。
高い商品には、頭の形に合わせた調整、店頭での試着、似合わせカット、購入後のお手入れや修理などが含まれていることもあります。
一方、既製品は、選べるサイズや髪型が決まっているぶん、価格を抑えられます。
自分に合うサイズや髪型が見つかれば、価格を抑えた既製品でも十分に使えることがあります。
反対に、高額な商品でも、サイズや着け心地、髪型が自分に合わなければ、使いやすいとは限りません。
大切なのは、値段だけを比べるのではなく、
「お店でどこまで調整してもらいたいか」
「どんな場面で、どのくらい使うのか」
を先に考えることです。
つまり、
高いか安いかではなく、自分が必要とする商品やサービスが、
その値段に含まれているかを見て選ぶと良いでしょう。
値段より先に確認したい6項目

1.抜ける範囲と、使う期間
まず確認したいのは、フルウィッグが本当に必要かどうかです。
脱毛の範囲が頭の一部だけなら、髪型、帽子、部分ウィッグで足りることがあります。
使う期間も考えておきましょう。
治療中の数か月だけ使うのか、生えそろうまでの1年近く使うのかで、選ぶ商品が変わります。
脱毛の範囲や時期には個人差があります。
まずは担当の医師や看護師に、自分の場合を確認してください。
2.脱毛したあとでも合うサイズ
髪があるときと、抜けたあとでは、ウィッグを着けた感覚が変わります。
脱毛すると髪のボリュームが減るため、同じウィッグでも治療前よりゆるく感じることがあります。
表示された頭囲が合っていても、頭の形によってはフィットしないことがあります。
通販で選ぶなら、次の点を見ておきましょう。
- S・Mなどのサイズ展開があるか
- アジャスターでどのくらい調整できるか
- 抜ける前と後、どちらを基準に測るか
- サイズが合わなかったときの返品条件
抜けている途中と、生え始めたあとの両方で使うなら、調整幅はとくに大事です。
3.頭皮に触れる部分
「医療用」と書かれていても、ウィッグの裏側に使われている素材や、
縫い目の位置は商品によって違います。
医療用ウィッグには、頭皮に触れる部分の安全性を確認するための、日本の規格があります。
皮膚への刺激、ホルムアルデヒド、汗や洗濯による色落ちなどについて、
試験する項目が決められています。
この規格が「JIS S 9623」です。
この規格に基づく試験に適合し、
業界団体の認証を受けた商品には、「M.Wig」というマークが表示されます。
どの商品を選べばよいか迷ったときは、このマークを一つの目安にできます。
ただし、マークがあれば、すべての人に刺激が起こらないという意味ではありません。
反対に、マークがない商品は使えない、ということでもありません。
認証の有無だけで決めず、裏側の作りやサイズ、返品できるかどうかも一緒に確認しましょう。
頭皮に赤み、痛み、ただれがあるときは、着用時間や留め方を自己判断せず、
治療スタッフに確認してください。
また、ウィッグが照射している場所に留め具やテープが当たらないかも相談しておきましょう。
4.人工毛・人毛MIX・人毛100%の違い
人毛が上で人工毛が下、ということではありません。
| 毛質 | 主な特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 人工毛 | 軽く、形が崩れにくい | 使える熱の温度、摩擦、光沢 |
| 人毛MIX | 両方の特徴を組み合わせている | 人毛の割合、熱の条件、色あせ |
| 人毛100% | 質感が自然で、セットしやすい | 寝ぐせや湿気の手入れ、乾く時間 |
体調が揺れやすい治療中は、見た目だけでなく、
毎日どのくらい手入れが必要かも確認しておきたいところです。
朝の支度をできるだけ簡単にしたいなら、形を保ちやすい人工毛を候補にする選択肢があります。
質感や自分でセットできることを優先したいなら、人毛MIXや人毛100%も含めて比べてみましょう。
5.いろんな角度からの見え方
正面の商品写真だけでは、横や後ろ、頭頂部の見え方までは分かりません。
正面では前髪や生え際、横では耳まわりやもみあげ、後ろでは襟足、上からは分け目やつむじを確認します。
通販で選ぶときは、正面だけでなく、横・後ろ・頭頂部の写真も掲載されているか確認してください。
いろいろな方向から見た写真を確認しておくと、届いたあとに「思っていた見え方と違った」と感じる可能性を減らせます。
6.返品・交換条件と、購入後まで含めた総額
通販では、返品・色交換の対象商品か、連絡期限、試着できる範囲、
付属品の条件を注文前に確認します。
あわせて、送料、返送料、インナーキャップ、スタンド、カット代まで含めた総額で比べましょう。
自治体の助成制度を、買う前に確認する
自治体によっては、がん治療に伴う外見の変化への支援として、
ウィッグ購入費の一部を助成しています。
対象になる人や助成額などは、自治体ごとに異なります。
購入前に確認したいのは、次の点です。
- 自分の住んでいる自治体に制度があるか
- 自分の治療やウィッグが対象になるか
- 助成の上限額と申請できる回数
- 申請は購入前と購入後のどちらか
- 必要な書類は何か
- いつまでに申請する必要があるか
- 送料や付属品、ケア用品も対象になるか
領収書の宛名や品名に条件がある自治体もあります。
購入してから対象外だったと分かることを避けるためにも、
まずは「自治体名 医療用ウィッグ 助成」で自治体の公式情報を確認してみてください。
分からないときは、自治体の窓口や、がん相談支援センターでも相談できます。
使える制度を先に確認しておくと、実際に払う金額を含めて予算を考えやすくなります。
お店で相談して選ぶ?ネットで選ぶ?

対面で測ってもらい、髪型まで細かく合わせたい方には、セミオーダーやフルオーダーが向いています。
仕事などで毎日長時間使う方、購入後のカットや修理まで同じ店に相談したい方も、サポートの内容を比べるとよいでしょう。
一方、次のような方は、価格を抑えた既製品から探す選択肢もあります。
- 自分で頭囲を測って、サイズ表と照らし合わせられる
- 希望に近い髪型が、完成品の中に見つかっている
- 通院や必要な外出のときだけ使う
- 帽子と使い分ける予定がある
- 返品条件を確認したうえで、通販で選べる
既製品を選ぶことは、自分の外見を軽く扱うことではありません。
必要なところにお金を使い、いらないサービスを外す。それだけのことです。
反対に、予算を超えてまで高い商品を選ぶ必要もありません。
見た目、着け心地、手入れ、サポートのうち、どれを優先するかで決めてください。
通販で探す時の選択肢
通販で探す場合の選択肢のひとつとして、ブライトララの医療用ウィッグを紹介します。
医療用ウィッグのカテゴリがあり、人毛、人工毛、前髪・ヘアピースから絞り込めます。
素材と予算を同じ画面で比べられる作りです。
2026年8月16日に確認した時点では、税込6,000円台の「素肌ウィッグ」から、人毛MIX、人毛100%の商品まで並んでいます。
※価格や在庫は変わるため、購入時に商品ページで確認してください。
送料は540円(沖縄は1,100円)で、9,800円以上の購入で無料になります。
予算を考えるときは、この金額も入れて比べてみると良いでしょう。
通販だからこそ、先に読む返品条件
ブライトララには、商品名に「返品・色交換OK」と表示された商品があります。
ただし、すべての商品が同じ条件ではありません。
注文前に、候補の商品ページと返品・交換の案内を確認してください。
返品とカラー交換では、連絡期限や商品の状態に違いがあります。
| 確認すること | 返品 | カラー交換 |
|---|---|---|
| 連絡期限 | 商品到着後7日以内 | 商品到着後7営業日以内 |
| 商品の状態 | カット、染毛、パーマなどの使用感がないこと | 専用ページでは「未開封(使用感がないこと)」 |
| 付属品 | ウィッグネット、タグ、保護ネット、ビニールなどがすべて必要 | 箱、ウィッグネット、タグ、保護ネット、ビニールなどがすべて必要 |
| 送料 | 購入者都合の返送料は購入者負担 | 返送料は購入者負担。交換品を届ける送料はお店が負担 |
| 返金・交換 | 返品商品を確認後、7〜10日ほどで返金。カード払いはカード会社を通して返金 | 同じ商品番号、同じ価格で、希望する色の在庫がある場合に交換 |
| そのほか | たばこや香水などのにおいが付いた商品は返品できない | 別の商品への交換はできず、カラー交換は1商品につき1回まで |
ここで注意したいのが、カラー交換で求められる商品の状態です。
公式の「お買物ガイド」では、カラー交換の条件を「未使用」としています。
商品が届いたら、まず注文した商品名、色、付属品が合っているかを確認します。
タグや付属品を外す、カットする、染めるといったことは、返品・交換の条件を確認してからにしてください。
通販の手軽さを生かすためにも、注文前に候補商品の表示と条件をしっかりと確認しておきましょう。
注文する前の、最後のチェックリスト
- 自分の治療では、どの範囲の髪が抜ける可能性があるか確認したか
- フルウィッグと部分ウィッグ、どちらが必要か
- 脱毛後を想定した頭囲と、商品の調整幅が合うか
- 裏側の素材や縫い目が、頭皮に当たりにくい作りか
- 人工毛、人毛MIX、人毛100%のどれが生活に合うか
- 正面以外の写真で、つむじや生え際を確認したか
- 住んでいる市区町村に助成制度があるか、必要書類は何か
- 返品・交換の期限と、付属品の条件を読んだか
- 本体、送料、ケア用品を足した合計額が予算に収まるか
迷うときは、担当の看護師や、がん相談支援センターに聞いてみてください。
脱毛の範囲や、院内のアピアランスケアの相談窓口について教えてもらえます。
まとめ
医療用ウィッグは、値段が高いほど自分に合うとは限りません。
購入前に確認したいのは、
- 脱毛する範囲と使う期間
- サイズと調整幅
- 頭皮に触れる部分
- 毛質と手入れ方法
- いろんな角度からの見え方
- 返品・交換条件と総額
の6項目です。
加えて、自治体の助成制度が使えるかも、購入前に確認しておきましょう。
対面で測定やカットをしてもらいたいなら専門店を、自分で条件を比べられるなら通販の既製品を選ぶ方法があります。
どちらが上ということではなく、自分が必要とする調整やサポートによって、合う買い方が変わります。
また、ウィッグは必ず用意しなければいけない治療用品ではありません。
脱毛する範囲や生活に合わせて、帽子や部分ウィッグと使い分ける方法もあります。
まずは、自分の治療ではどの範囲の髪が抜ける可能性があるのかを確認する。
そのうえで、どんな場面で、どのくらい使いたいのかを考える。
「一番高いもの」ではなく、「自分が使う場面に必要なもの」。
そこまで絞ってから探すと、値段だけに振り回されず、自分に合う選択肢を見つけやすくなります。
参考情報
- 国立がん研究センター がん情報サービス「脱毛」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「アピアランスケア:がんの治療による外見の変化とケア」
- 日本規格協会「JIS S 9623:2015 医療用ウィッグ及び附属品―一般仕様」
- 日本毛髪工業協同組合 医療用ウィッグ認証マークの案内
- ブライトララ「お買物ガイド」「カラー交換サービス」

