放射線治療中はお風呂に入っていい?体の洗い方と注意点

放射線治療中の入浴とスキンケアの注意点を解説するコラムのアイキャッチ 放射線治療

放射線治療が始まると、
「あれ、そういえばお風呂って入って良いのかな」
と迷いませんでしたか。

照射している部分にお湯をかけて大丈夫なのか。
ゴシゴシ洗っていいのか。
体に印(マーキング)がついているけれど、消えてしまわないか。
温泉やサウナは我慢した方がいいのか。

聞きそびれたまま、なんとなく不安を抱えてお風呂に入っている方も少なくないと思います。

結論から言うと、放射線治療中も、お風呂やシャワーには入って大丈夫です。
むしろ、体を清潔に保つことは治療を続けるうえで大切なことです。

ただし、いくつか気をつけたほうがいいことがあります。

この記事では、放射線治療を受けている方が、お風呂で気をつけるとよいことを、
できるだけ生活目線でまとめました。

お風呂に入っていい。でも「洗い方」に少しだけ気をつける

放射線治療を受けていると、照射が当たっている部分の皮膚は、少しずつデリケートになっていきます。

治療が進むと、日焼けをしたときのように、皮膚が赤くなったり、
乾燥してかゆくなったり、つっぱる感じが出たりすることがあります。

これは放射線皮膚炎といって、照射を受けている多くの方に起こりうる変化です。

だからといって、お風呂を我慢する必要はありません。

体を清潔に保つことは、皮膚を守るうえでもむしろ大事です。

ポイントは、「入っていいかどうか」ではなく、「どう洗うか」です。

照射が当たっている部分の皮膚は、刺激に弱くなっています。

今までと同じようにナイロンタオルでこすったり、熱いお湯に長くつかったりすると、
それが刺激になって、皮膚炎を強めてしまうことがあります。

逆に言えば、洗い方をひと工夫するだけで、皮膚の負担はぐっと減らせます。

放射線治療中、お風呂で気をつけるとよいこと

公的な医療機関でも案内されている、入浴時のポイントをまとめます。

むずかしいことはありません。

「やさしく、ぬるめに、こすらない」が基本です。

  • お湯はぬるめにする(40度以下が目安)
  • 長湯はせず、短めに切り上げる
  • 照射が当たっている部分は、こすらず、手でやさしく洗う
  • 石けんはよく泡立てて、泡を皮膚にのせるように洗う
  • 洗い流すときは、シャワーの水圧を強くしすぎない
  • 洗ったあとは、タオルでこすらず、押さえるように水分を拭き取る
  • ナイロンタオルやボディブラシは、照射部位には使わない

「全部きっちり守らなきゃ」と気負わなくて大丈夫です。
要は、照射が当たっているところを、いつもより丁寧に、やさしく扱う。

その意識があれば十分です。

照射部位以外の場所は、これまで通りに洗ってかまいません。
体じゅうを神経質にケアする必要はないので、そこは安心してください。

体についた印(マーキング)は、自分で消さない

放射線治療では、毎回同じ場所に正確に照射するために、皮膚に印をつけることがあります。

油性ペンのようなものや、シールで印をつける方法など、施設によってさまざまです。

この印は、治療がすべて終わるまで使う大切なものです。
お風呂のときに気をつけたいのが、この印を自分で消したり、書き直したりしないことです。

ふつうにシャワーやお湯につかるくらいでは、印はそう簡単には消えません。

ただ、その部分をタオルで強くこすると、消えやすくなってしまいます。
印のあたりは特に、やさしく扱ってください。

もし印が薄くなってきても、ご自分で書き足さないようにしましょう。
次の治療のときに、スタッフに「印が薄くなってきました」と伝えれば、書き直してもらえます。

印が衣類や下着につくと、色移りすることがあります。
治療中は、色がついても気にならない、濃いめの下着や服を選んでおくと安心です。

温泉やサウナ、岩盤浴はどうすればいい?

「治療中だけど、温泉に行ってもいいのかな」という疑問もよく聞きます。

温泉、サウナ、岩盤浴については、治療中は控えめにしておいたほうが無難です。
理由は、熱いお湯や強い刺激、体を強く温めることが、
照射部位の皮膚炎を強めてしまう可能性があるからです。

特に、放射線による皮膚炎は背中にも出やすいので、
背中をしっかり温める岩盤浴は、治療中は避けたほうがよいとされています。

どうしても温泉に入りたい事情があるときは、自己判断せず、
担当の放射線腫瘍医に確認してみてください。

皮膚の状態や治療の部位によって、判断が変わることがあるからです。

治療が終わって皮膚炎が落ち着けば、通常は数週間ほどで照射部位の皮膚は回復していきます。
その後の温泉やサウナは、特に問題なく楽しめるようになることがほとんどです。

どうしても!という理由がなければ、今は少しだけ我慢。
治療が終わって落ち着けばまた入れると思っておくと良いかもしれません。

塗り薬・入浴剤は、自分の判断で足さない

乾燥やかゆみがつらいと、市販の保湿クリームや入浴剤を使いたくなることがあります。

ただ、照射が当たっている部分に関しては、塗り薬や入浴剤を自己判断で使わないほうが安全です。

市販の塗り薬の中には、皮膚を刺激する成分が含まれていることがあります。
また、放射線が当たっている皮膚は敏感になっているため、
ふだんは平気だったものが、治療中はしみたり、合わなかったりすることもあります。

保湿が必要なときは、医師に相談すると、
皮膚の状態に合った保湿剤を処方してもらえることが多いです。

塗り方やタイミングは、看護師が説明してくれます。

「これくらい自分で買って塗ってもいいかな」と思うことでも、
一度相談してからのほうが、結果的に皮膚を守れます。

遠慮なく聞いてみてください。

こんなときは、我慢せず病院へ相談を

お風呂のケアでセルフケアできる範囲には、限りがあります。
次のような変化が出てきたときは、自分で対処しようとせず、医療者へ相談してください。

  • 皮膚がジクジクして、水ぶくれのようになってきた
  • 皮膚がめくれて、ただれたようになっている
  • 痛みやヒリヒリ感が強くなって、つらい
  • かゆみが強くて、かかずにいられない

こうした症状が出たときは、塗り薬の種類を変えたり、皮膚を保護する処置をしたりと、
医療者だからこそできる対応があります。

我慢せず早めに伝えるほうが、悪化を防ぐことができます。

伝えるときは、「いつから」「どのあたりが」「どんなふうに」つらいかを、
ざっくりでいいので話せるようにしておくと、医療者も状況をつかみやすくなります。

うまく言葉にできそうになければ、メモしておいたり
「お風呂のあと、ここがしみる」くらいの伝え方で十分です。

治療が終わったあとも、しばらくは同じケアを

ひとつ覚えておいてほしいのが、放射線皮膚炎は、
照射がすべて終わってから1〜2週間が、いちばん強くなりやすい時期だということです。

「治療が終わったから、もう普通に過ごしていい」と思いがちですが、
皮膚にとってはむしろ、終わった直後が踏ん張りどころです。

治療が終わってからも1か月くらいは、治療中と同じように、
ぬるめのお湯で、やさしく洗うケアを続けると安心です。

皮膚が落ち着いてくるまで、もう少しだけいたわってあげてください。

おわりに

放射線治療中も、お風呂やシャワーには入って大丈夫です。
我慢して体を清潔にできないほうが、かえって心配なくらいです。

気をつけるのは、照射が当たっている部分を、ぬるめのお湯で、こすらず、やさしく洗うこと。

印は自分で消さないこと。

温泉やサウナ、市販の塗り薬は、迷ったら相談すること。

このあたりを頭の片隅に置いておけば、必要以上に神経質にならなくても、
毎日のお風呂を続けられます。

「こんなこと聞いていいのかな」と思うようなことでも、
お風呂やスキンケアのことは、治療を続けるうえで大事な生活の一部です。

気になることがあれば、遠慮せずに担当の医療者へ聞いてみてくださいね。

放射線治療中の皮膚の変化や、皮膚炎が出てきたときの具体的なケアについては、
別の記事でくわしくまとめています。あわせて読んでみてください。

※この記事は、放射線治療を受ける方に向けた一般的な情報をまとめたものです。皮膚の状態や治療の内容には個人差があり、照射する部位によって注意点が異なる場合があります。気になる症状があるときや、判断に迷うときは、自己判断せず、担当の医療者へご相談ください。

参考情報

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