放射線治療を乗り切るために|治療を終えた方がそれぞれ見つけていた「続ける工夫」

放射線治療がつらいときの過ごし方|通院を乗り切る工夫のアイキャッチ 気持ちの整理

治療そのものは、数分で終わる。
なのに、家に帰るころには、ぐったりしている。

毎日の通院がしんどくて、
「この生活が、あと何回続くんだろう」と
指折り数えた日がある方も、いらっしゃると思います。

こんにちは。元がん放射線療法看護師のしおりです。
放射線治療室で、多くの患者さんとご家族に関わってきました。

この記事では、放射線治療を通い終えた方たちが
「やってよかった」「先に知りたかった」と話していた、
毎日を少し乗り切りやすくする工夫をまとめました。

特別なことは、ひとつもありません。
明日から一つ、試せるものばかりです。
読み終えるころ、治療の終わりまでの日々が、
少しだけ軽く感じられたら、うれしいです。

治療は数分なのに、どうしてこんなに疲れる?

放射線治療は、1回の照射がおおむね10〜30分ほど。
体に痛みはなく、多くの方が通院しながら、
それまでの生活を続けています。

それでも、
「なんだか、ずっとだるい」
「何もする気が起きない」
と感じる方は、少なくありません。

これは、あなたが弱いからでも、
気合いが足りないからでもありません。

国立がん研究センターの情報でも、
放射線治療中は、疲れやすさ・だるさ・気力が出ない、といった症状が
あらわれることがあるとされています。

ただし個人差がとても大きく、
まったく感じない方もいれば、強く疲れを感じる方もいます。

そして、この疲れの理由は、放射線だけではありません。
がんという病気に向き合う気持ちの疲れや、
毎日の外来通院そのものの疲れが、重なって起こります。

考えてみると、通院の一日は、これだけのことをしています。

  • 起きて、身支度をする
  • 病院まで移動する
  • 受付をして、待つ
  • 着替える
  • 治療を受ける
  • また待って、帰る
  • 帰ってから、家のことをする

治療は数分でも、一日の中身は、これだけあります。
疲れるのは、体力や気力がないからではなく、
やっていることが、多いからです。

だから、「今日はもう、何もできない」という日があっても、
自分を責めなくて大丈夫です。

通い終えた方たちが「やってよかった」と話していたこと

私が現場で関わってきた中で、
治療を乗り切った方たちには、いくつか共通する工夫がありました。
どれも、誰にでもできる、小さなことです。

終わったあとの楽しみを、先に決めておく

治療のあいだ、支えになっていたのが
「これが終わったら」という、小さな楽しみだった。
そう話す方は、少なくありませんでした。

治療が終わったら、行きたい場所。
帰りに寄る、お気に入りのお店。
週末の、自分へのごほうび。

なんでもいいんです。
「これが終わったら」と思えるものが一つあるだけで、
今日をやり過ごせる日があります。

放射線治療には、必ず終わりがあります。
その先に、小さな楽しみを一つ、置いておく。
それだけで、前を向きやすくなる方がいました。

治療の日の身支度を、少しラクにする

毎日のことになると、
着替えや身支度が、なにげに負担になってきます。

治療を受けた方たちがしていた工夫は、たとえばこんなものです。

  • 前開きや、ゆったりして着替えやすい服にする
  • 治療部位の近くは、ボタンやファスナーの少ないものを選ぶ
  • 照射する部分に当たる下着は、しめつけの少ないやわらかいものにする
  • 肌が敏感になる時期は、こすれる素材やタグを避ける

小さな工夫ですが、毎日続くことだからこそ、
通うのが、少し軽くなります。

しんどい日は「休む」を、予定に入れておく

だるさや疲れを感じたときは、
無理をせず休むことが、いちばんの対処だとされています。

でも、頭では分かっていても、
「休んだら、家のことが回らない」と、つい頑張ってしまいますよね。

だからこそ、先に休む前提で組んでおくのが、おすすめです。

  • 通院した日は、ほかの予定を入れない
  • 家事は小さく分けて、できる分だけにする
  • 冷凍食品や、宅配を頼れる日をつくっておく
  • 頼れる人がいるなら、遠慮せず頼る日を決めておく

通院の日は、それだけで一つの、大きな用事です。
何もかもを、その日にやろうとしなくて、いいんです。

水分や睡眠など、整えられるところを整える

しんどい時期は、食事や水分が、おろそかになりがちです。
「これなら口にできる」というものを、
先に用意しておいた、という方もいました。

夜しっかり眠ることも、疲れを持ち越さないために大切だとされています。
もし眠れない日が続くようなら、
それも我慢せず、医師に相談してください。

全部を完璧にする必要は、ありません。
整えられるところから、一つずつで十分です。

治療室で言われたことは、そのまま守る

治療中の姿勢や呼吸について、
病院から具体的な指示を受けることがあります。

たとえば、心臓や肺の近くに照射する場合、
「照射中は、大きく呼吸をしないでください」と言われることがあります。
反対に、息を吸って止める方法を、事前に練習する治療もあります。

どちらも、あなたの体を守るための、意味のある指示です。

言われると、かえって意識してしまうものですが、
その通りにできていれば、心配いりません。

やり方は病院や治療の内容によって違うので、
迷ったら、その場のスタッフに聞いてください。

つらさは、いつまで続くのか

毎日通っていると、
「この疲れは、いつまで続くの?」と、
先が見えなくて、不安になりますよね。

治療中に感じた疲れやだるさは、
多くの場合、治療が終わって数週間のうちに、
少しずつ感じなくなっていく、とされています。

もちろん、これにも個人差があります。
回復のペースは人それぞれで、
誰かと比べて焦る必要は、ありません。

肌の症状など、部位ごとの変化については、
別の記事でも詳しく整理しています。

いちばん大事なのは、
「今がずっと続くわけではない」ということです。
終わりは、必ず近づいています。

がまんしすぎず、伝えていい

放射線治療室にいたころ、
つらさを口に出せずに帰っていく方を、たくさん見てきました。

「これくらいで、相談していいのかな」
「先生も、忙しそうだし」
そう思って、飲み込んでしまう気持ちも、よく分かります。

でも、だるさや疲れが続くとき、
その裏に、貧血や脱水など、対応した方がよい原因が
隠れていることもあります。
だから、我慢しすぎないでほしいのです。

つらさは、遠慮せずに伝えてかまいません。
「これくらいで」と、思わなくていいんです。

診察や治療室で伝えるとき、メモしておくといいこと

だるさは、言葉で伝えるのが難しい症状です。
うまく説明できないときは、
具体的な生活の様子を伝えると、医療者に届きやすくなります。

  • いつごろから、その症状があるか
  • 何をするとつらいか(例:階段の上り下りで息切れがする)
  • ぐっすり寝ても、疲れがとれない感じがあるか
  • 食事や水分は、どのくらいとれているか
  • 日常生活に、どのくらい影響しているか

診察室に入ると、聞きたかったことを忘れてしまう方は、本当に多いです。
気づいたときに書き留めておくと、そのまま伝えられます。

書き留める道具がほしい方へ、
診察前に整理できる、無料のメモを用意しています。
無料の診察前メモPDF

毎日の症状や困りごとを記録しておきたい方には、
治療中の記録帳もあります。
症状や気持ちを書きとめて、
医師や看護師に伝えやすくするための、道具です。
放射線治療日記(乳房・胸壁編)

どちらも、使わなくてかまいません。
この記事のメモの項目を、手元に控えておくだけでも十分です。

一人で、抱えなくていい

放射線治療の毎日は、
外からは見えにくいけれど、たしかに、しんどいものです。

でも、通い終えた方たちがしていたように、
小さな工夫で、少し乗り切りやすくすることはできます。

終わったあとの楽しみを、一つ決めておく。
しんどい日は、休むことを予定に入れておく。
つらさは、遠慮せずに伝える。

どれか一つでも、今日から試せそうなものがあれば、うれしいです。
そして、迷ったことや不安なことは、
主治医や、治療室のスタッフに相談してください。
あなたは、一人で抱えなくて大丈夫です。


この記事は、放射線治療を受ける方の生活の参考に、一般的な情報をまとめたものです。 症状の感じ方や経過には個人差があります。治療や体調について気になることは、自己判断せず、主治医や、治療を受けている医療機関にご相談ください。

参考情報

この記事を書いた人
しおり

元がん放射線療法看護認定看護師です。がん治療中の方やご家族が、治療中の生活や不安を少し整理できるように、看護師としての経験をもとに情報をまとめています。

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