放射線治療で髪は抜ける?|脱毛が起こるのは当てた場所だけ

「放射線治療で髪は抜ける?」と書かれた、白背景に緑枠のコラム見出し画像 治療中の副作用

「放射線治療をすることになった」
そう聞いたとき、
ふと、髪のことが心配になった方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

がんの治療というと、
髪がごっそり抜けるイメージがあります。

鏡の前で、
「私も、全部抜けてしまうのかな」と、
不安になる。

その気持ちは、よく分かります。

こんにちは。元がん放射線療法看護師 しおりです。

放射線治療室で、
髪のことを心配される方に、たくさん出会ってきました。

先にお伝えすると、
放射線治療は、抗がん剤とは脱毛の起こり方が違います。
髪が必ず抜ける、というわけではありません。

この記事では、
放射線治療で髪は抜けるのか、抜けるとしたらどこが抜けるのか。

そして、また生えてくるのか、いつ生えてくるのかを、順番に整理します。

読み終えるころには、
自分の場合はどうなりそうか、見当がつくはずです。

放射線治療で、髪は必ず抜けるわけではない

まず、いちばん大事なところからお伝えします。

放射線治療による脱毛は、
放射線を当てた場所だけに起こります。

たとえば、胸に放射線を当てた場合。

その範囲の胸毛は抜けることがありますが、
頭の髪の毛は抜けません。

つまり、頭に放射線を当てていなければ、
頭の髪が抜けることは、基本的にありません。

「がんの治療をすると、髪が抜ける」
というイメージは、
抗がん剤(薬物療法)による脱毛が、広く知られているためです。

放射線治療の脱毛は、それとは仕組みが違います。

抗がん剤の脱毛と、放射線の脱毛は、どう違うのか

同じ「脱毛」でも、
抗がん剤と放射線では、起こり方が大きく違います。

抗がん剤は、薬が血液に乗って、全身をめぐります。
そのため、髪の毛だけでなく、
眉毛やまつ毛、腕や足の毛など、
全身の毛が抜けることがあります。

一方、放射線治療は、
がんのある場所を、ねらって当てる治療です。

体の中を、薬がめぐるわけではありません。

だから脱毛が起こるのは、
放射線を当てた場所と、その周りだけです。

「どこに放射線を当てるか」で、
毛が抜ける場所が決まる。

そう考えると、分かりやすいかもしれません。

なぜ、当てた場所の毛が抜けるのか

少しだけ、放射線治療の仕組みの話をします。

毛は、毛根にある「毛母細胞(もうぼさいぼう)」という、
毛をつくるもとになる細胞から生えています。

この細胞は、たえず分裂して新しい毛をつくっているため、
放射線の影響を受けやすい細胞の一つです。

放射線を当てると、
その場所の毛母細胞が、一時的にダメージを受けます。

その結果、その部分の毛が、抜けやすくなります。

逆にいえば、
放射線が当たっていない場所の毛母細胞は、影響を受けません。

だから、当てた場所以外の毛は、抜けないのです。

抜けるのは、がんの影響ではない

脱毛が始まると、
「がんが、進んでしまったのかな」と、
不安になる方が時々いらっしゃいます。

でも、放射線治療による脱毛は、
がんが悪くなったサインではありません。

放射線が、毛をつくる細胞に一時的に影響したことで起こる、
治療の反応の一つです。

つらい変化ではありますが、
病気そのものが、進んだわけではない。

そこは、切り分けて考えてください。

自分の場合、髪は抜けるの? ―― 当てる場所で決まる

では、自分の治療ではどうなるのか。
これは、放射線をどこに当てるかによって変わります。

  • 頭(脳など)に当てる場合:当てた範囲の、頭の髪が抜けることがあります
  • 顔や首まわり(頭頸部)に当てる場合:その範囲にあるひげ、眉毛、まつ毛などが抜けることがあります
  • 頭や顔に当てない場合(乳房・肺・お腹・骨盤など):頭の髪は抜けません。当てた場所の体毛は、抜けることがあります

頭に放射線を当てる治療については、こちらの記事で詳しく説明しています。

たとえば、乳房やお腹、骨盤に放射線を当てる治療なら、
頭の髪が抜ける心配は、基本的にいりません。

ただし、脱毛が起こるかどうか、どのくらい抜けるかは、
放射線の強さや当てる方向、体質などによっても変わります。

同じ場所への治療でも、人によって差があります。

自分の治療で脱毛が起こるのか、その程度はどのくらいか。

これは、遠慮なく、
担当の医師や看護師に確認して大丈夫です。

説明を受けるときに、
「髪や毛は抜けますか」と聞いておくと、
心の準備がしやすくなります。

いつ抜けて、いつ生えてくるのか

脱毛が起こる場合、
時期の目安を知っておくと、少し落ち着きます。

放射線治療による脱毛は、
治療を始めてから2〜3週間ごろに、始まることが多いです。
(早い方では、10日ほどで始まることもあります)

治療が続いているあいだは、
少しずつ、抜ける量が増えていくことがあります。

急に一日で、というより、
だんだんと進んでいく感じです。

そして多くの場合、
治療が終わってから3〜6カ月ごろに、
また生えてきたと感じられるようになります。

もちろん、これにも個人差があります。
生えてくるペースは、人それぞれです。

ここで一つ、正直にお伝えしておきます。

頭に高い量の放射線を当てた場合などは、
髪が再び生えてこないこともあります。

「必ず、元どおりに生える」とは、言い切れません。

自分の場合はどうなのか、気になるときは、
これも主治医に確認しておくと、安心につながります。

不確かなまま、一人で心配を抱えないようにしてください。

抜けると分かったら、備えておけること

もし脱毛が起こると分かったら、
先に少し備えておくと、気持ちが楽になります。

頭の髪が抜ける治療の場合は、
ウィッグ(かつら)や、帽子、バンダナなどを使う方がいます。

  • ウィッグは、慌てて買わなくても大丈夫です
  • まずは試着してみるのが、おすすめです
  • 使わない、という選択肢もあります

医療用ウィッグを検討している方は、こちらの記事で、サイズや毛質、返品条件など、買う前に確認したいことをまとめています。

抜けはじめた時期は、
枕や服に抜けた毛がつくと、気持ちが沈むこともあります。

短めに整えておいたり、
やわらかい帽子をかぶって過ごしたりする方もいます。

ただし、頭に放射線を当てる治療で固定具(シェル)を使っている場合は、
髪を切る前に確認が必要です。
詳しくはこちらの記事にまとめています。

治療を受けている場所の地肌は、
デリケートになっていることがあります。

ゴシゴシこすらず、やさしく扱ってあげてください。

洗い方などで迷うときは、治療室のスタッフに聞いてみてください。

脱毛など、見た目の変化に対するケアは、
「アピアランスケア(外見のケア)」と呼ばれています。
これは年齢や性別に関係なく、
必要なときには、誰でも受けることができます。

どこに相談すればいいか分からないときは、
病院のスタッフや、
がん相談支援センターに聞いてみてください。

主治医に確認したいことを、
先に整理しておきたい方は、
診察前に書き込めるメモも用意しています。
無料の診察前メモPDF

一人で抱えず、聞いて大丈夫

放射線治療で髪が抜けるかどうかは、
放射線を当てる場所によって決まります。

頭に当てなければ、頭の髪は基本的に抜けません。
当てる場合でも、脱毛が起こるか、どのくらいかは人それぞれで、
多くの場合、治療のあとに、また生えてきます。

大事なのは、
不確かなまま、一人で怖がらないことです。

自分の治療では、どうなるのか。
髪や見た目のことで気になることは、
「これくらいで聞いていいのかな」と思わずに、
担当の医師や看護師に相談してください。

外見のことも、遠慮なく相談していい。
それも、あなたの治療の、大切な一部です。


この記事は、放射線治療を受ける方の参考に、一般的な情報をまとめたものです。 脱毛の有無や程度、経過には個人差があり、治療の内容によって異なります。自分の治療について気になることは、自己判断せず、主治医や、治療を受けている医療機関にご確認ください。

参考情報

この記事を書いた人
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元がん放射線療法看護認定看護師です。がん治療中の方やご家族が、治療中の生活や不安を少し整理できるように、看護師としての経験をもとに情報をまとめています。

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