前立腺の放射線治療で夜中トイレに何度も起きる|眠れないとき

前立腺の放射線治療中に夜中トイレで何度も起きて眠れないときの記事のアイキャッチ 治療中の副作用

夜中の1時。

トイレに行く。

布団に戻って、眠る。

3時。

また目が覚めます。

5時。もう一度。

朝、起きた時点で、すでに疲れています。

治療が始まったころは、こんなことはありませんでした。

昼間もトイレが近くなってきましたが、それより夜のほうがこたえます。

「治療中だから、仕方ないのだろうか」

「水を減らせば、少しは眠れるだろうか」

そう考えている方に向けて書きました。

私は看護師として約15年、うち約5年間は放射線治療に関わる認定看護師として働いてきました。

この記事では、なぜ尿の回数が増えるのか、水分をどう考えるか、そして眠れないことを診察でどう伝えるかを整理します。

※この記事は、前立腺がんの外照射で、治療前に尿をためるよう指示されている方に向けた内容です。

前立腺の治療で、尿の回数が増えることがある

前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿の通り道である尿道を取り囲んでいます。

放射線を当てると、その周りの膀胱や尿道の粘膜も影響を受けます。

そのため、前立腺の放射線治療を受けることで
頻尿や、排尿・排便のときの痛み、軽度の血尿などが生じることがあります

つまり、回数が増えること自体は、治療中に起こりうる変化ということです。

そして、増えるのは昼だけではありません。

膀胱が刺激を受けている状態は、夜も続いています。

昼に近いなら、夜も近くなる可能性があるのです。

頻尿、治療が終わればもとに戻る?

公的な情報でも、意見は様々です。

ある病院ではこうした症状について、放射線治療が終わって1か月程度で軽快する、としています。

一方、他の病院では、外部照射法の副作用として、残尿や頻尿などは治療後半年程度で改善傾向がみられるものの、1年以上続く場合もあると説明しています。

同じ前立腺の放射線治療でも、すべての患者さんに同じように治療をするわけではありません。

1回に当てる量や回数が違えば、経過も違うことがあります。

ですから、
ネットに書かれている回復の日数を、自分の回復期限として受け取らないことが大切です。

「1か月で治るはずだから」と我慢していて、元に戻らなかった場合に、
かえって精神的な負担になったりしている患者さんもいらっしゃいました。

自分の治療だとどのくらいの見通しでもとに戻るのかは、
治療の内容を知っている担当医に確認してみましょう。

水を減らす前に、確認してほしいこと

夜に何度も起きることがつらくなると、
多くの方が最初に考えるのが飲水量を減らすことだと思います。

でも、ここは、注意が必要な部分です。

公的の情報として
水分を自己判断で控えすぎると危険であり、飲む量を調節する場合は、自分の場合はどの程度が適切かを担当医に確認してから始めるように、と書かれています。

「自分で飲水量を決めて、極端に減らすこと」は危険なのです。

前立腺の治療で治療前に尿をためるのは、治療計画CTの時の膀胱と同じ状態にするため。
もしも違う状態になってしまうと、副作用が強く出てしまう可能性も。

さらに、自己判断で飲水を控えて、もしも脱水になった場合、
放射線治療が続けられないことにつながる可能性もあります。

だから、飲水量を減らすかどうかは、一人で決めないでください。

治療前の蓄尿がつらくなってきた場合は、前立腺の放射線治療で尿をためるのがつらいにまとめています。

夜の回数を、そのまま伝える

頻尿になったとき、特に辛いのは夜。

患者さんの中にも、

「昼間は、仕事だったり他のことに気をとられているからか、そんなに気にならないけど、
夜中は頻回にトイレに行かなくてはならないことがとても辛い」

とおっしゃる方がいらっしゃいました。

診察で伝えるときは
昼間と夜とで分けて伝えると、分かりやすいです。

伝えるときにまとめておくとよいのは、次の6つです。

  • 夜中に何回起きるか
  • 治療前は何回だったか
  • いつごろから増えたか
  • 起きたときに尿はしっかり出るか(出にくい、少ししか出ない、など)
  • 排尿のときにしみるような感じがあるか
  • 翌日の生活にどう出ているか(日中の眠気、運転、仕事)

たとえば、こう言ってみる。

「治療前は夜1回でしたが、今週は3回起きます。日中も眠くて、運転が不安です」

生活への影響までしっかり伝えることがポイントです。

運転については、放射線治療中に車を運転していい?にもまとめています。

診察前のメモの作り方は、がん治療の診察前メモにあります。無料のPDFも置いています。

夜のトイレを、少しでも安全にする

治療が続く間は回数そのものはすぐには変えられませんが、
夜中に起きること自体の危険を減らす工夫をしておくと少し安心です。

  • 足元に明かりを用意する(人感センサーの小さなライトなど)
  • 廊下やトイレまでの通り道に、物を置かない
  • ベッドから急に立ち上がらない(一度座ってから立つ)
  • 滑りやすい靴下やスリッパを避ける
  • 寒い時期は、上着を手の届く場所に置く

少しでも危険を減らすため、起きる前提で部屋を整えておくことも大切です。

次の診察を待たずに相談したい変化

次のような変化があるときは、次の予定を待たずに、治療を受けている病院へ連絡してください。

  • 尿が出にくい、または出なくなった
  • 尿に血が混じる、または血の色が濃くなった
  • 排尿のときに強い痛みがある
  • 熱が出ている
  • 下腹部が張って苦しい

この目安で決められないときは、連絡しても大丈夫です。

夜中に何度も起きる状態が続き、眠気や疲れで日中の生活に支障が出ている場合も、
次の治療日や診察で早めに伝えてください。

治療中の排尿・排便の変化について

前立腺の治療では、排尿だけでなく、お通じの変化が出ることもあります。

下剤でお通じを整えるよう言われて困っている場合は、前立腺の放射線治療で下剤を飲んだら下痢をどうぞ。

骨盤への照射でトイレが不安になったときのことは、骨盤の放射線治療でトイレが不安なときにまとめています。

おわりに

前立腺の放射線治療中は、トイレが近くなることがあります。

昼間だけでなく、夜中に何度も目が覚めるようになると、眠った気がしないまま朝を迎えたり、
日中の眠気や疲れにつながったりすることもあります。

「治療中だから仕方ない」と我慢する必要はありません。

診察や治療のときには、

  • 夜に何回くらい起きているか
  • 治療前と比べて増えたのか
  • 眠れないことで、翌日の生活にどのくらい影響しているか

このあたりを伝えてみてください。

回数だけでなく、「夜中に何度も起きるのがつらい」「朝から疲れている」ということも、
大切な情報です。

水分を減らすなど、自分でできそうなことを試したくなるかもしれません。

ただ、頻尿の原因や適した対処は人によって違います。

まずは今の状態を治療スタッフに伝えて、自分の場合はどうしたらよいか、一緒に確認していきましょう。


※この記事は、一般的な情報をまとめたものです。診断や治療方針を決めるものではありません。症状の経過や水分のとり方は治療内容によって異なります。必ず治療を受けている医療機関にご相談ください。

参考情報

この記事を書いた人
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元がん放射線療法看護認定看護師です。がん治療中の方やご家族が、治療中の生活や不安を少し整理できるように、看護師としての経験をもとに情報をまとめています。

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