放射線治療、休んだら効果は落ちる?|土日の休みと、途中で休むこと

「休んだら、効果は落ちる?」と書かれた、白背景に緑枠のコラム見出し画像 放射線治療

放射線治療の予定表を渡されて、
ふと気づく。

平日は毎日なのに、土日と祝日は空いている。

「毎日続けて当てたほうが、効くんじゃないの?」
「休んだ分、治療が遅れてしまうのでは」

そう思った方も、いらっしゃると思います。

さらに調べてみると、
「◯日以上休むと再発率が上がる」といった情報が出てきて、
かえって不安になってしまう。
そんな経験をされた方もいるかもしれません。

こんにちは。元がん放射線療法看護認定看護師 しおりです。
放射線治療室で、この質問を何度か受けてきました。

先にお伝えすると、
予定されている土日や祝日の休みと、途中で治療を休むことは、分けて考える必要があります。

この記事では、その2つを分けて整理します。
読み終えるころには、予定表の空白の意味と、
もし休むことになったときにどうすればいいかが、分かるはずです。

土日が休みなのは、計画に組み込まれているから

放射線治療のスケジュールを示した図。月曜から金曜まで治療があり、土日は休み。週5回で進める前提で1回の放射線量が決められている

まず、予定表の土日の空白について。

多くの放射線治療は、平日に毎日、土日や祝日は休みという形で進みます。

これは、病院が土日に動いていないから、という理由だけではありません。

日本放射線腫瘍学会の説明によると、
これまでの長い放射線治療の積み重ねから、
「週5回の照射でうまく治療できる」ように、
1回に当てる放射線の量が決められています。

つまり、週5回で1セットという前提で、
1回の量が設計されているということです。

土日の休みは、計画から抜け落ちているのではありません。
最初から、その休みを含めた形で組み立てられています。

なぜ週5回で進めるのか、詳しくはこちらの記事にまとめてあります。

そして、祝日などで数日程度の休みが入っても、
全体の治療期間の中では、
治療効果に大きな差はないと考えられています。

だから、予定表に空白があること自体は、
心配しなくて大丈夫です。

では、なぜ「休むと効果が落ちる」という話があるのか

ここからが、正直にお伝えしたいところです。

「休んでも大丈夫」と、一律には言えません。

放射線治療を休んでいる間、
がん細胞も、正常な細胞も、
放射線によるダメージから回復していきます。

短い休みなら、影響はほとんどありません。

でも、休みが長く続いて治療期間が延びると、
がん細胞のほうも回復してしまい、
効果がやや弱まることがある、とされています。

予定された休みと長期の中断の違いを示した図。土日など数日の休みは治療計画のうちだが、長い中断は計画の外側になる

つまり、問題になるのは
「休むこと」そのものではなく、
治療期間が予定より大きく延びてしまうことです。

数日の予定された休みと、
何週間も治療が中断することは、まったく別の話です。

ネットで見かける「◯日以上休むと」という情報は、
この後者の話であることが多いです。

がんの種類によって、影響の大きさは違う

もう一つ、大切なことがあります。

治療期間が延びたときの影響は、
がんの種類や、治療の目的によって違います。

たとえば、頭頸部のがん、食道がん、子宮頸がんなどを
放射線治療だけで治そうとする場合。(完治を目指そうとする場合)

治療期間が予定よりも長くなると、
再発率や治療成績に影響することが知られています。

一方で、乳がんの手術後に行う放射線治療のように、
再発を予防する目的の治療では、
連休などによる休止の影響は少ないと考えられています。

国内の報告でも、乳がんの術後照射では、
治療期間の長さによる再発率の差は認められなかったとされています。

また、抗がん剤を同時に使っている場合は、
休止の影響が少ないことも知られています。

つまり、同じ「休む」でも、
どのがんを、どんな目的で治療しているかによって、
意味合いが変わります。

だから、ネットで見つけた数字を、
そのまま自分に当てはめて怖がる必要はありません。

その数字が、自分の治療の話とは限らないからです。

「予定通りに受ける」が基本

ここまで読むと、
「じゃあ、少しくらい休んでもいいのかな」
と思われるかもしれません。

でも、結論はその逆です。

一度始まった放射線治療は、
できるだけ予定通り、休まずに続けることが大切です。

理由は、シンプルです。

あなたの治療計画は、
「この回数を、この期間で終える」という前提で、
1回の量まで計算されて作られています。

その設計から外れるほど、
本来期待できたはずの効果から遠ざかる可能性があります。

数日程度の予定された休みは、
最初から計算に入っています。

でも、自己都合で何日も休むことは、
計算の外側の話になります。

「今日はしんどいから、行くのをやめようかな」
「用事があるから、今週は行けないな」

そう思う日もあると思います。

毎日の通院は、それだけで大変です。

通院を少しでも軽くする工夫は、こちらの記事にまとめています。

でも、休みたいと思ったときは
自分だけで決めずに、病院に相談してください。

体調が悪くて休むことになったときは

とはいえ、休まざるを得ないこともあります。

熱が出た。
体調が悪くて、通院できそうにない。

どうしても外せない予定が入った。

そんなときに、いちばんやってはいけないのは、
連絡せずに、黙って行かないことです。

必ず、治療を受けている病院に連絡してください。

連絡すれば、その先を一緒に考えられます。

  • 今日は休んで、明日以降どうするか
  • 全体の回数や期間をどう調整するか
  • 体調そのものへの対応が必要か

放射線治療は、多くの職種が関わって進めています。

一日休むという情報が伝わるだけで、
その先の計画を組み直すことができます。

黙って休んでしまうと、その調整ができません。

「休みたい」と言い出しにくく感じるかもしれませんが、
医療者にとっては、責める話ではなく、
これからをどうするか考えるための情報です。

地震などで治療がお休みになったときの考え方は、こちらの記事でも触れています。

ネットの数字で、一人で怖くならないでほしい

放射線治療を受けている方から、
こんな相談を受けることがあります。

「調べていたら、休むと再発率が上がると書いてあった」
「自分の治療は、もう手遅れなのではないか」

治療のことを調べるのは、
きちんと向き合おうとしているからこそです。

それ自体は、悪いことではありません。

ただ、インターネットで見つかる数字には、
それがどんながんの、どんな治療の、
どういう条件での話なのかが、抜け落ちていることがあります。

その数字が、あなたの治療に当てはまるかどうかは、
あなたの治療計画を立てた医師にしか分かりません。

不安になったときは、
一人で答えを探し続けるより、
次の診察で聞いてみてください。

「休みが入ることで、影響はありますか」
「私の治療は、何回で、いつまでの予定ですか」

そう聞いていいんです。

聞きたいことを忘れないための準備は、こちらの記事で紹介しています。

聞いておけば、残りの日々を、
必要のない不安を抱えずに過ごせます。

まとめ

最後に、整理します。

  • 予定されている土日や祝日の休みは、計画に組み込まれています。週5回で進めることを前提に、1回の量が決められています
  • 数日程度の休みであれば、治療効果に大きな差はないと考えられています
  • ただし、治療期間が大きく延びると、効果が弱まることがあります
  • その影響は、がんの種類や治療の目的によって違います
  • だからこそ、一度始まった治療は、できるだけ予定通り続けることが大切です
  • 体調不良などで休むことになったときは、自己判断せず、必ず病院へ連絡してください

予定表の空白は、心配しなくて大丈夫です。
それは、あなたの治療計画の一部です。

気になることがあれば、
治療室のスタッフや主治医に、そのまま聞いてみてください。


この記事は、放射線治療を受ける方の参考に、一般的な情報をまとめたものです。 治療の回数、期間、休みの影響は、がんの種類、治療の目的、併用している治療、体の状態などによって大きく異なります。ご自分の治療については、必ず治療を受けている医療機関にご確認ください。体調不良などで治療を休む場合は、自己判断せず、必ず病院へご連絡ください。

参考情報

この記事を書いた人
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元がん放射線療法看護認定看護師です。がん治療中の方やご家族が、治療中の生活や不安を少し整理できるように、看護師としての経験をもとに情報をまとめています。

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